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第5回 「挙げ方」の選択方法

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Q.いろいろなトップボディビルダーや格闘家、アスリートのトレーニング動画を観るのですが、同じトレーニング種目でも、動きやフォームが千差万別で、何が正しいのか、よくわからなくなります。相川選手の長年の実践や情報に則したお考えを、聞かせていただけませんか?

A.最近はインターネットの普及により、動画を手軽に観る機会が飛躍的に増えました。私がトレーニングを始めた頃は、ほぼ書籍しかない時代でしたから、たとえば背中の代表的な種目であるベントオーバーロウなど、最後まで難解な種目でした。優秀なトレーニング実践者に触れる機会がなければ、なおのこと、独学でトレーニングの正しい動きを身につけることが難しい時代でした。

現在は、反対にたくさんの動画を見る機会があり、情報過多でかえって困惑してしまうトレーニング初心者や中級者が少なくありません。ここで重要なことは、「トレーニングとは、机上の理論ではないこと」です。言うのとやるのは、圧倒的に違いますから、自分で試すことが何より大切です。理想的には、試したいトレーニングフォームや動作を持つ先輩から、考えや、注意点を聞くことから始めたいです。それができない場合は、とにかくやってみて、自分の身体からメッセージをしっかり受信し、進むべきか、引き返すべきか、判断、選択すべきです。

身体からのメッセージは、痛みであったり、進歩であったり、感覚的なものであったり、種々あります。数回のトレーニングで自分に合うか見えてくるはずです。私の場合は、基本種目と呼ばれるバーベルやダンベルの種目では、一つの種目でも、数種類のフォームを持っています。これをその時々で使い分けながら、トレーニングを継続しているわけです。停滞や疲労の蓄積でいつものフォームでの実施が難しい日には、別のフォームでトレーニングし、違った角度からトレーニングできる日という位置付けにするわけです。ここには、基本種目を大切にし、できるだけ実施するという考えが根底にあります。

さて、今回は挙げ方についてです。今から15年ほど前にアメリカで「筋負担と腱負担」の話を聞きました。これは、簡単に言うと、筋腹への負荷が高いトレーニングか、腱への負荷の高いトレーニングなのか? という話です。ご存知のように筋肉は、腱によって骨と繋がれています。アキレス腱と、ふくらはぎの筋肉をイメージするとご理解いただけるでしょう。一般に、黒人はふくらはぎが、発達しにくいタイプが多いと言われていますが、優秀なスプリンター(短距離選手)には、黒人が多いですね。スプリントパワーを発揮する際、アキレス腱や、ふくらはぎは同時に躍動するわけですが、腱は、筋腹ほど太く発達しません。高いパフォーマンスを発揮するが、太くはなりにくい性質を持つのが腱だということです。(それゆえ、黒人スプリンターはふくらはぎが細い)

ちなみに腱と筋腹の割合は遺伝的に決まっており、筋腹が短いタイプは、高低差のあるメリハリのある筋肉が付きやすく、筋腹が長いタイプは、高低差は出にくいが、ボリュームのある筋肉が付きやすいと言われています。そして、個人でも部位によって、筋腹の長短に差があるように感じますが、完璧な肉体など、この世に存在しませんから、遺伝子の限界、いや、遺伝子を塗り替えるぐらいの気持ちで、トレーニングすべきです。

安全に筋肉の発達を追求する上で「筋負担」に重きを置いた挙げ方をトレーニングに取り入れることも、よいアイディアです。MUSASHIのフェイスブックページにアップロードされている私の動画で、ライイングエクステンションで、上腕三頭筋をトレーニングしているものがあります(上記写真の動きです)。動作の「中間部分」だけを反復する挙げ方です。

これは、腱や関節には優しく、筋腹には、ハードな挙げ方です。行い方は、高重量低回数でなく、若干、重量を軽めにし、高回数にすることがポイントです。反復回数は最低10回以上。10回以上反復できる重量設定にします。追求すべきは、パンプ(筋肉の張り感)と、バーンズ(筋肉が熱くなる感覚)です。私は20回や、時に100回を行ったりします。これがまさに、筋負担を強調した中間レンジでのトレーニングです。高重量を用いたフジレンジのトレーニングと、こうした中間レンジトレーニングをうまく混ぜ合わせると、トレーニングの幅が広がるのではないでしょうか。私は、パワーリフターのようなキッチリした動きのトレーニングと中間レンジのトレーニングをバランスよく、その時々でチョイスするよう心掛けています。

また、中間レンジトレーニングを取り入れるヒントとして、広い可動域があって、効かせたい筋肉から、途中で抜けるような感覚がある種目や、集中をより上げたい種目で、取り入れてみたらよいのではないかと思います。

ウエイトトレーニングは、何キロ挙げたかも大切ですが、どう挙げたかは、もっと大切です。その日のトレーニングを評価する際には、挙げ方の中身を追求したいたいものです。以前も書きましたが、反動をむやみに用いないこと。これは、安全面からの大切なアドバイスです。今回も思いつくままに書きましたが、少しでも有益な情報となっていたら、幸いです。

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