MENU

第7回 トレーニング効果が出ない場合のチェックポイント

ランニングコストが安い

Q.トレーニングを頑張っているのですが、成果があまり出ていません。食事やサプリメントも正しいアプローチができていると思います。やはり、運動経験の少ない自分には効果が出にくいのでしょうか?

A.トレーニングに長く関わっていると、いろいろなトレーニーに出会います。各自共通で成果を挙げるためのメンタル的な核心は、「集中」にありますが、実際のトレーニングにあっては、何キロを挙げたかというよりは「どう挙げたか?」が、より重要であると言えるでしょう。挙げ方だけでも、セミナーのテーマとして成立し得るほど内容は豊富です。今回のご質問の内容から、アドバイスできるポイントを整理したいと思います。

まず、質問者が運動経験の有無を気にしていらっしゃいますが、はっきり言ってあまり関係ないと思います。具体的に言うとプラスにもマイナスにも働きます。プラス面は、体幹の強化が進んでおりフォーム維持に優れている点や、ある程度筋肉が強化されており神経系統の促通が整備されている点などが挙げられます。マイナス面は、競技特性による左右不対称の癖や、古傷を抱えているといった点です。したがって運動経験は良くもあり悪くもあり、成果の出方には大きな影響はないという認識でよいと思います。

さて、ご質問についてですが、実際の挙げ方やセットの最終レップの内容などを見てみないと確定的なことは言えませんが、運動経験の少ない方にありがちなのは、

(1)腕だけで挙げている
(2)体幹が使えていないため、「あと1回」が実行されない
(3)下ろす局面を軽んじている

ざっと列挙すると、こんな内容が思い当たります。

見た目はハードにトレーニングをしている状態なので余計に悩ましいのですが(実際キツく感じている)、ポイントを逃がしているので苦しくも効果的でないトレーニングをしている状態に陥っているということです。

では簡単に一つずつ見ていきましょう。(1)は日頃から使いやすい手先を優先的に使ってしまう状態です。肩をすくめたままラットプルダウンをしたり、胸を張らずにベンチプレスをするのが代表的です。共通しているのは大筋群のトレーニングを腕だけでやろうとしてしまう状態です。狙った大筋群を意識してダイナミックに動かしましょう。

(2)は体幹部分に代表される体軸の安定です。トレーニング経験の浅いトレーニーにありがちなのが、限界まで挙げたように見えても、単にバランスを崩して挙がらなくなっただけ。または、挙げる軌道がまちまちで、たまたま挙がらない軌道が選択されただけだったりします。重心が安定しないのもここに含まれます。
その改善策は体幹部分に強い緊張を与え続けることです。これが最後の1回を絞り出します。例えば、レッグプレスで限界と感じたところから、脊柱起立筋を強く収縮させながら下ろし、再挑戦するとプラス1回挙がったりします。初心者ほどこの傾向が強いです。本来の限界が見えてくるというわけです。試してみて下さい。腹筋以外のほとんどの種目で試せるはずです。もしかしたらちゃんと追い込んだはずが、今まで「つもり」だけで終わっていたかもしれません。

最後の(3)についてですが、専門的な言い方ですと、挙げる時をコンセントリック、下ろす時をエキセントリックと言い、筋肥大効果はエキセントリック、すなわち、下げる動作のほうが高いとの研究結果が報告されています。(同じ速度で挙げるだけのカール動作と、下げるだけのカール動作を片腕ずつ試したら、ゆっくり下げるが、ゆっくり上げるを上回る筋肥大効果があったそうです)下げる動作の恩恵をみすみす放棄してしまうような、重力任せに近い間違った下ろし方になっていないか、チェックしてみて下さい。

まとめると、鍛えるべき筋肉を意識して、最終レップほど体幹部分に強い緊張を与え、内容の濃い1セットとすること。そして、動作の軌道を安定させ、下ろしの局面は筋肉で受けて丁寧に。こんな感じでしょうか。私の場合、上げる際のスティッキングポイント(動作のつまるきつい数cmの部分)を通過させるための最小限のチーティング(反動)を用いたりして、より下ろす局面を、引き出すようトレーニングしています。

tweetでフォローする Instagramでフォローする
LINE友達募集