Q.痛い所があって、思うようにトレーニングができず、最近、やる気も低下気味です。ぶしつけで申し訳ないのですが、アドバイス下さい。
A.どんな活動でも、長い期間にわたって何事もなく進むことはないと思います。トレーニングも真剣に取り組んでいれば、怪我や蓄積型の痛みは誰にでも起こってくるものです。 私は一つの種目でもいくつかのフォームを採用しており、コンディションに問題を感じた場合は、以下のように調整したりしています。 ・足幅や握り幅の調整 ・オーバーグリップをアンダーグリップに変更 ・可動域を前半半分・後半半分に絞る ・中間のみでのパーシャルレンジを採用 これらを適宜取り入れるだけでも新たな刺激となり、暗いトンネルの先に光が見えてきます。トレーニングでは、一貫性を追求する時期と、新たな刺激を求める変化の時期があるべきと考えます。前者は、一貫性の中で強さを求める「オーバーロードの原則」であり、後者は、筋肉を刺激に慣れさせない「筋幻惑法」と、立派に定義付けされているトレーニング方法です。
つまり、その時その時のコンディションに柔軟に対応して、トレーニングをしたたかに継続していくノウハウが、そこにあるわけです。種目そのものを捨て、他の種目にチェンジし、しばらく凌ぐのもアリです。最近はジムに行けばいろいろなマシンがありますから、「このマシンのこの使い方なら、痛みを感じずに問題なく動作できる」といった解決種目が見つかる場合が多いです。さらに言えば、一定のポジションで静止し全力で8秒間力を入れたり、単に30秒止まり我慢するアイソメトリックトレーニングですら、優れたバリエーションと言えます。

私自身もつい先日、スクワットの筋力バランスが悪いと感じたので、挙げ始めの位置にバーベルをヘビーウェイトで固定し、アイソメトリックトレーニングをひたすら繰り返しました。人から見て何をやっているのか、理解できなくても、テーマが明確であれば恥ずかしがらず、一生懸命トレーニングするのみです。
トレーニングとは、誰が・いつ・何のために行うかによって、その種目が正しくもなり、間違いにもなります。生身の体は日々変化しますので、今日のベストのトレーニングプログラムを考えることが大切です。
「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、身近な状況だけに気を取られ、長期的な方向性を忘れてはいけません。大局観に立ち、あの手この手で、1mmの前進を大切にするメンタルこそが大切です。落ち着いて、今できることを一歩一歩ですね。
