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第14回 オーバートレーニングに陥らず、最適な負荷を与え続ける方法とは

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Q.私は疲労感が残っていると気になるタイプで、いつもオーバートレーニングを心配しています。多少の疲労が残る状態でも筋肉に負荷をかけ続けたほうがよい、という意見もよく聞くのですが、相川さんの見解を聞かせて下さい。

A.まずトレーニングの原則について一般理論をおさらいします。基本的なアプローチとして、最大筋力(やっと1回挙がる重さ)の80%の重さで8~12回限界のセットを行います。そして、次回のトレーニングまで48時間空けましょう。これが教科書的なアプローチです。筋肉の発達には回復が大切であり、「超回復」と呼ばれる作用を使って、トレーニング成果を上げていくわけです。大切なことは、「トレーニングのパフォーマンスが上がっている」のを確認できることです。単純に10回の3セットが前回より楽だったり、短時間に終われば、適切に超回復しているわけです。もちろん、使用重量や回数が伸びていれば、よりよい回復が実現できています。br />br /> トレーニング中の成長している、進化しているという感覚を大切にしながら、1回のトレーニング内容や頻度を決めていきます。具体的には「量、強度、頻度」、この3つのバランスで成果を上げていきますが、スポーツの世界には目を見張るようなサンプルが存在しています。たとえば競輪選手や体操競技の選手は、特に高負荷の筋トレを行わなくても、毎日の競技練習の反復で素晴らしい筋発達を獲得しています。つまり、高みに到達するにはいくつもの道があるということです。いろいろな組み合わせを試してみていただきたいと思います。 

次に、トレーニングは漫然と回数をこなせば良いわけではなく、1セットごとに行なう中身がとても大切です。その選択肢としては、ざっと分けて以下のものがあります。

a.12回以下で力を出しきるセット
b.補助をつけて追い込むセット
c.補助やチーティングを用いて、 ゆっくり下ろせなくなるまで行うセット
d.挙げるスピードが落ちるまで行うセット
e.20回以上の決めた回数を行うセット

a~dに関しては、毎日はお勧めしません。1日おきから、週1~2回がよいでしょう。ただeの「20回以上の決めた回数を行う」は、毎日でも構いません。筋発達を狙うなら、20~25回ぐらいのセットを行ってみてください。その際、可動域いっぱいのフルレンジでなく、「中間レンジ」で行うことがお勧めです。中間とは、動作の前半と後半を除いた中盤だけを繰り返す方法です。腱や関節の負担も軽減できます。
20~25回というと、高回数過ぎて筋肥大しないのではないかと疑問が湧きそうですが、陸上競技に例えれば、100~200m走の運動時間と同じです。彼ら短距離選手の大腿の発達は、言うまでもなくすばらしいものがあります。私自身、長年のキャリアの中でこの手法を多用して、成果を上げてきていますから、自信を持ってお勧めできます。

明らかにトレーニングのパフォーマンスが落ち続けたならば、やはり回復を気にするべきです。ただ、気持ちの部分だけに左右されないよう、客観的に見る目が大切です。成長を確認しながら、体からのメッセージを分析し続けること。痛みの種類や度合い、成長の感覚。トレーニング自体のパフォーマンス。これらをチェックして内容を随時リニューアルしていけば、自分なりの効果的なトレーニング方法を構築してけることでしょう。さらに、食事や休養のレベルを上げることも、回復を促し、成長を引き出す重要な用件であることを忘れてはいけません。私見としては、「なかなかオーバートレーニングまで頑張れないなぁ」というのが自分自身に対する感想です。

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