JRA(日本中央競馬会)所属。通算2,000勝を挙げる数少ない騎手
Q.ベンチプレスをやると肩が痛くて、満足な動作ができません。経験豊富な相川さんのアドバイスお願いします。
A.本当によくある問題です。問題の原因や、症状の大小等、個人差がありますが、いくつか思い当たることを記していきたいと思います。何より考えられるのが、「肩で挙げている」という点です。ベンチプレスは本来、肩甲骨をしっかり寄せ、胸を張り、胸の一番高い所にバーを下ろし、挙げるのが正しいフォームです。
しかし、胸の張りが甘く、首に近い位置で上げ下げしているならば、かなり三角筋前部を使っている良くないフォームです。
あとは、手首が曲がり過ぎていて、頭をベンチから浮かすタイプ。これも、肩挙げを誘発し、肩を痛めやすいフォームです。ベンチプレスに限らず、押す種目の注意点は「肩を身体の後ろ下にしっかり収め固定すること」です。要するに肩をすくめずに胸を張り押し続けることです。
いくつか、打開策となる種目を紹介します。
1. ベンチシュラッグ
ベンチプレスの要領でバーベルを持ち、肘を曲げないで、肩の出し入れのみ(肩甲骨の寄せ、離しで)5~10cm程度の可動域でバーベルの上げ下げを10~20回繰り返す。これにより、肩が最大限に下りた位置を見つけます。
2. カウントダンベルベンチプレス
多少の余裕のあるダンベルを持ち、下ろして脱力して、ゆっくり5秒数えてから挙げる。これを10回繰り返す。肩をダンベルの重さでストレッチさせ、大胸筋で挙げる感覚を呼び戻します。

3. ボールプッシュアップ
片手をサッカーボールやメディシンボールに乗せて行う腕立て伏せ。不安定な条件側の肩は、インナーマッ スルが強化され、肩の安定を促し、肩挙げの矯正に効果的です。
4. ケーブルカール
上腕二頭筋を強化しながら、肩までコンディショニングしてしまおうというやり方です。上からぶら下がって いるケーブルのハンドルを右手、左手それぞれに握り、土下座するように膝まづき、さらに額を床に付け、ま さに土下座した状態で、両腕だけを上方に構えた状態です。この状態で、可動域一杯のカールをします。15回 前後、限界までカールした後にグリップを30秒程度離さず、肩を脱力し、ストレッチ。スクリュー状に手首を 回して行っても効果的。上腕二頭筋の硬さからの肩痛となる原因もあり、そのケアにも有効な種目です。
5. ダンベルプルオーバー
第一種目として、ダンベルプルオーバーを10~20回で数セット行う。やはり、肩挙げの癖を取るのに有効。 多少のベンチプレス低下を招いても、滑らかなベンチプレスのフィーリングを得ることは、新たな刺激となり ます。パンプも素晴らしいはずです。
6. デクラインベンチプレス
フラットベンチがダメでも、デクラインベンチだと肩が痛くない場合があります。肩よりも、肘が稼働しやす いポジションであるからです。無理してベンチプレスをやらなくても、デクラインをメインにして肘を使い、 肩を使いすぎない感覚を身につけていくこともよいアプローチです。必ず、補助者をつけましょう。フラット ベンチ以上に、潰れると危険な種目です。
7. インナーマッスル強化と肩のストレッチ
肩が硬くなり、インナーマッスルが弱い。これも肩痛の原因の一つです。一遍に克服できなくても、徐々に改 善させていく思いで取り組みたいものです。
今回はベンチプレス時の肩痛について取り上げましたが、身体の声を聞いて、いろいろ試して、悪化させない よう、あの手この手で対応してみてください。
