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第27回 上体を丸める VS. 腰を張る 強い姿勢はどっち?

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Q.ラグビーをしている社会人です。先日、相撲関係の人とコンタクトスポーツについて意見交換したのですが、姿勢について、最後まで意見が噛み合いませんでした。強い姿勢とは、「上体を丸めること」と相撲の方は言うのですが、ラグビーでは、「腰をしっかり張ること」がよく言われます。相容れない意見で終始したのですが、これについて、ウエイトトレーニングの専門家である相川さんの意見が聞きたいです。よろしくお願いします。

A.最も強い姿勢。議論が深く、なかなか意見がまとまらないテーマかもしれません。私なりにそれぞれ実際の動きを観察し、ウエイトトレーニングの経験値から考えてみました。
まずは、「局面」に着目すべきではないでしょうか。

相撲の立ち合いと、ラグビーのスクラムでは、抵抗すべき力の角度が違います。また、刻々と変化します。例えばラグビーのスクラムの場合、腰を張らなければ、後ろからの押し込みを相手に効果的に伝えられません。
一方、相撲の場合は立ち合い時から、上体を起こされる力に、かなり抵抗しなければなりません。必然的に腹筋を使い身体を丸め込みます。

余談ですが、ある幕内力士のトレーニングを見る機会がありましたが、大きな身体でレッグレイズ(脚上げ腹筋)を軽々と行っていました。

ラグビーでも、立ち姿勢では上体を丸めて、当たっていきますね。ただ、低い姿勢では局面に応じて腰を張り、コンタクトをしている機会が多分にあると思います。相撲は、常に前からの負荷を受けたり、抱えるという局面が多く、ラグビーの場合は、手を地面に付けるなど、より低い姿勢が多く、より背面で耐えるシーンが多いのではないでしょうか。

あくまでも局面の割合の問題で、相撲でも、はたきこみに耐える際には、ハムストリングや脊柱起立筋など、身体の後ろ側の筋肉が活躍します。重心を低くして腰を張れれば、強さが発揮できるでしょう。

局面に応じて、腰を張った姿勢を取ったり、身体を丸めた姿勢を取ったりすることで、多様なコンタクト局面に対応することが必要になると思います。ラグビーにおいても、相撲においても、抵抗する力に対して、局面ごとに強い姿勢を使い分けているべきでしょう。

また、前面の筋肉と背面の筋肉をバランスよく鍛え、拮抗筋同士の引っ張り合いを高め、反る、丸めるに特化し過ぎないフラットな姿勢も強い姿勢と言えるのではないでしょうか。
ウエイトトレーニングにおいては、まず、正しい姿勢がとれることが大切です。力士が身体を丸める際も、高い柔軟性を土台としてスクワットもデッドリフトにおいて腰を張り、しっかり姿勢がとれることが前提となります。

ウエイトトレーニングでしっかり身体作りをして、コンタクトで対人的な身体の強さや使い方を養っていくことが重要です。両方をトレーニングしていくことで力を身に付け、その力を使えるように磨いていく。これがアスリートの王道です。 

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